「요즘것들(ヨジュムゴットゥル)」という言葉を韓国ドラマやSNSで見かけて、意味が気になった方は多いのではないでしょうか。
この記事を読めばこの表現の成り立ちから世代間の対立構造、実際の使い方まで一通り理解できるはずです。
韓国語を学んでいる方はもちろん、韓国の職場文化や世代論に興味がある方にも役立つ内容にまとめました。
「요즘것들(ヨジュムゴットゥル)」の基本的な意味とは
まず押さえておきたいのはこの言葉が二つの単語の組み合わせでできているという点です。ここを理解すると後の使い方の話もすっと入ってくると思います。
語源は「요즘」と「것들」の組み合わせ
「요즘」は「최근」や「요새」と並んで「最近」「この頃」を意味する固有語です。
過去のある時点から現在まで続いている状態や変化を指す言葉で、日本語の「近頃」に近いニュアンスを持っています。
一方の「것들」は、「것(もの・こと)」の複数形です。
ものを指す言葉を人に対して使うと、かなりくだけた、時には見下したような響きを帯びます。
この二つがくっついた「요즘것들」は、直訳すれば「近頃の連中」「今の奴ら」といった感じになりますね。
日本語だと「今どきの若者は」に近い表現だと思っていただければイメージしやすいはずです。
直訳とニュアンスの違い
面白いのは直訳だけだと単純に「最近の人たち」という中立的な意味に見えてしまう点です。
でも実際の使われ方はもっと感情がのっている場合が多くて、話し手の立場によって皮肉っぽくも、愛着を込めた自称としても機能します。
個人的にはこの振れ幅の大きさがこの言葉の一番面白いところだなと感じています。
なぜ批判的に聞こえることが多いの
「요즘것들(ヨジュムゴットゥル)」がなぜネガティブな響きを持ちやすいのか、その理由を整理していきます。
誰が誰に向けて使うかで印象がまったく変わってくるんですよね。
上の世代が下の世代に使う場合
もともとこの言葉は年配の世代が若い世代の言動や価値観に困惑したり呆れたりする場面で使われてきました。
職場で新入社員の考え方が理解できない上司が
「요즘것들은도대체
(近頃の若者はまったく…)」
とこぼす、というような使い方が典型例です。
実際、KNOU위클리の記事でも、
「과거에갇힌꼰대와불신에갇힌요즘것들의갈등
(過去に囚われた頑固者と不信に囚われた最近の若者の葛藤)」
という表現で世代間の相互不信を象徴する言葉として紹介されていました。
若者自身が自称する場合
ところがこの言葉、若い世代が自分たちを指して使うケースも少なくありません。
例えば이혜민さんの著書『요즘것들의사생활:먹고사니즘』は、自分の人生の主導権を持ちながら独自の働き方を選ぶ若者たちへのインタビュー集で、タイトルに「요즘것들」を堂々と使っています。
この場合は自虐というよりも、むしろ自分たちの新しい生き方を前向きに表現する言葉として機能しているように見えます。
ちょっと意外ですよね。

「요즘것들」が世の中に広まったきっかけ
この言葉が一般に定着した背景にははっきりとした出版物の存在があります。ここでは特に影響力の大きかった二冊を紹介していきますね。
허두영さんの著書『요즘것들』
2018年に世代コミュニケーションコンサルタントの허두영さんが出版した『요즘것들』は韓国のミレニアル世代を分析した最初期の本として位置づけられています。
この本ではミレニアル世代の特徴を7つに整理し、スペイン語の「케세라세라(なるようになる)」の頭文字をもじって「QUESERA」というフレームでまとめています。
具体的には、常に「왜요(なぜですか)」と問いかける質問者(Question)、成果を急ぐ焦り屋(Urgency)、経験しながら学ぶ学習者(Eduperience)、技術に強いデジタルネイティブ(Savvy in Technology)、十分な説明を求める意味追求者(Explanation)、現在の幸福を重視する現実主義者(Realism)、達成を重んじる人(Achiever)の7つです。
허두영さんはその後も『요즘것들과옛날것들의세대공존의기술』という続編を出していて、対立を前提にせず共存の方法を探る方向に議論を進めています。
教育現場からの視点、권재원さんの『요즘것들사전』
もう一冊注目したいのが教師の권재원さんが2016年に書いた『요즘것들사전』です。
25年以上中学校で教壇に立ってきた著者が生徒たちの言葉や感覚を辞典形式でまとめた本で、上の世代からは理解しにくい若者の言語文化を丁寧に解説しています。
この本は企業や職場ではなく教育現場からの視点なので世代論をビジネス書としてだけでなく、教育論として読みたい方にも参考になりそうです。
具体的な使い方と例文
ここからは実際の会話でどう使われるか具体的な例文を交えて見ていきます。ニュアンスの違いを意識すると自然に使い分けられるようになると思いますよ。
会話でのニュアンスによる使い方
批判的な文脈だと
「요즘것들은예의가없어
(今どきの子たちは礼儀がない)」
のように、呆れやいら立ちを込めた言い方になります。
一方で少し愛着を持った言い方だと
「요즘것들참대단하다
(今の若い子たちって本当にすごいな)」
のように、感心や称賛の意味でも使われることがあります。
どちらの意味になるかは声のトーンや話の流れで判断するしかない部分もあって、正直ネイティブでないと聞き分けが難しいところもあるかもしれません。
似た表現との違い
似たような表現として「요즘애들(今どきの子たち)」や「요즘젊은이들(今どきの若者たち)」もよく使われます。
「요즘애들(ヨジュメドゥㇽ)」は「요즘것들(ヨジュムゴットゥル)」よりもやや口語的で、家庭や友人同士のカジュアルな会話で使われる印象です。
それに対して「요즘젊은이들」はニュース記事やコラムなど、少し硬めの文章で使われることが多く、批判の色合いは薄めです。
「요즘것들」はこの中間くらいの立ち位置で、くだけているけれど社会的な話題として語られる場面でよく登場するという感覚を持っておくと使い分けがしやすいと思います。
日本語の「今どきの若者」との比較
日本語話者にとって一番気になるのは対応する日本語表現との距離感だと思います。ここで整理しておきますね。
ニュアンスの強さの違い
日本語の「今どきの若い者は」も年配者が若者を評する時の定番表現ですが、「요즘것들」のほうがやや直接的で、砕けた響きが強い気がします。
というのも「것들」自体がものを指す言葉の複数形なので、人に向けて使うことで多少の乱暴さが自然に加わるからです。
日本語の「者」にはそこまで強い含みはないので、翻訳する時は文脈に応じて「今の連中」くらいまで強めるほうが原文の温度感に近いかもしれません。
あくまで自分の感覚での見立てですが。
韓国ドラマや職場で見かける使用例
韓国の職場ドラマやオフィスコメディを見ていると、上司役が部下の世代に苛立ちを見せる場面で「요즘것들」的なセリフが登場することがよくあります。
実際、多くの세대論を扱う記事でも企業内の会議や飲み会の場面がこの言葉が飛び交う典型シチュエーションとして挙げられていました。
韓国語を学んでいる方が実際のドラマでこの言葉を耳にした時、ただの悪口ではなく世代間ギャップという社会的な背景があることを知っておくと、セリフの奥行きがぐっと感じられるようになると思います。
使う時に気をつけたいポイント
実際にこの言葉を使う、あるいは使われた時の心構えについて触れておきます。ここは特に丁寧に読んでいただきたいところです。
相手や場面を選ぶ表現
「요즘것들」は目上の人が部下や後輩に向かって使うとかなり失礼に響く可能性があります。
特に初対面や仕事上の重要な場面では避けたほうが安全でしょう。
友人同士のくだけた会話や自分自身を含めた自虐的なニュアンスで使うぶんには問題になりにくいですが、それでも相手との関係性によって受け取り方が変わることは意識しておきたいですね。
誤解を招かないための工夫
もし外国人学習者としてこの言葉を使いたい場合は、まず自分を指して「우리요즘것들은(私たち今の世代は)」のように使うのが一番安全な入り口だと思います。
他人、特に年上の人を指して使うのは韓国語に十分慣れてから、文脈をしっかり読める状態になってから挑戦するのがおすすめです。
ちょっと遠回りに見えるかもしれませんがこの慎重さが結局は自然な会話への近道だったりするんですよね😊
まとめ
「요즘것들」という言葉について意味から背景まで一通り見てきました。
最後に要点を整理しておきますね。
- 「요즘(最近)」と「것들(ものの複数形)」が組み合わさった表現で、直訳は「近頃の連中」に近い
- 上の世代が下の世代へ使う場合は批判的、若者自身が自称する場合は前向きなニュアンスになりやすい
- 対義語的な存在として「꼰대」があり、二つの言葉は세대間対立を象徴するセットとして語られてきた
- 허두영さんの著書『요즘것들』が世代論としてこの言葉を広めた大きなきっかけになった
- 教育現場からは권재원さんの『요즘것들사전』が別の角度からこの言葉を捉えている
- 使う場面は相手との関係性次第で、目上の人へ直接使うのは避けたほうが安全
この言葉一つで韓国社会の세代観や職場文化まで見えてくるのが個人的にはとても面白いなと感じています。
韓国語の勉強を通じて言葉の裏にある社会背景まで知っていけると、学びがもっと深まっていくのではないでしょうか。

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