この記事を読めばLoL(リーグ・オブ・レジェンド)と韓国の兵役免除制度の関係、そしてFakerをはじめとする選手たちがどんな条件でその権利を得たのかが丸ごとわかります。
「Worlds優勝したら兵役免除になるの?」
と思っていたあなた、実はその認識は完全に誤りです。
LoLファンなら一度は耳にしたことがある「兵役免除」という言葉ですが正しく理解している人は意外と少ないんです。
この記事では制度の仕組みから韓国社会での受け止め方まで、しっかりと丁寧に解説していきます。
そもそも韓国の兵役制度って?
韓国では20歳から28歳の男性全員に約18〜21ヶ月の兵役が義務づけられています。
これはプロゲーマーであっても例外ではなく、かつて多くのLCK選手がキャリアの全盛期に兵役で現場を離れることを余儀なくされてきました。
職業選手としての全盛期はせいぜい20代前半から後半。
そこに1年半以上の空白が生まれるのは選手としての命取りになることも珍しくありません。だからこそ、LCK選手にとっての「兵役免除」は夢のような話だったんです。
Worlds優勝では免除されない
ここが最も誤解されやすいポイントです。結論からいうと、Worlds(世界大会)優勝は兵役免除の対象外です。
兵役免除が認められるのはあくまで「韓国の国家代表として」アジア競技大会で金メダルを獲得した場合、もしくはオリンピックで銅メダル以上を獲得した場合に限られます。
Worldsはいかに世界的な大会であっても韓国兵役法の適用対象にはなっていません。
アジア大会の金メダルで何が変わる?
アジア競技大会で金メダルを獲得した選手は韓国の兵役法施行令に基づき「芸術・スポーツ要員」として編入されます。
通常の現役兵として服務する代わりに以下の「代替服務」が適用されます。
- 約3〜4週間の基礎軍事訓練
- 544時間(約34ヶ月分の義務)の当該分野でのボランティア活動
つまり厳密には「完全免除」ではなく、軍隊に入らなくていい代わりにプロ選手・コーチなどeスポーツ分野での活動を続けながら義務を果たす形です。
期間中はその活動をやめることができないという制約もあります。
Fakerの兵役はどうなった?
Faker(イ・サンヒョク)選手は2023年の第19回杭州アジア競技大会で韓国代表のLoLチームとして出場し、決勝で台湾を2-0で下して金メダルを獲得しました。
ただFaker本人の場合は少し事情が複雑です。
高校中退という学歴の関係から、すでに「社会服務要員の長期待機(戦時労務役)」として事実上の免除状態にあったとされています。
そのためアジア大会の金メダルがなくともFakerはすでに現役兵として服務する義務がない立場でした。
チームメンバーのZeus、Keria、Chovy、Ruler、Kanaviら5人はこのアジア大会の金メダルにより韓国プロゲーマーとして初めて正式に兵役特例を受けた選手たちとなりました。

「BTSは入隊、ゲーマーは免除?」論争
2023年の杭州アジア大会後、韓国国内では大きな議論が巻き起こりました。
アイドルグループBTSのメンバーたちが順次入隊していた時期と重なったため、「なぜゲームが上手いと兵役免除になるのに、BTSは免除されないのか」という声がSNSを中心に広がったんです。
賛成派は「プロゲーマーも過酷なトレーニングを積んでおり、国際大会で韓国の国威を高めている」と主張。
反対派からは「eスポーツがスポーツといえるのか」「公平性に欠ける」という声も上がりました。
この論争は政治家まで巻き込む規模になり「eスポーツは病気ではない、産業として支援すべき」という声明も出るなど、制度の在り方そのものへの問い直しにもつながりました。
2026年、さらなる制度見直しの動き
2026年4月時点で、韓国プロゲーマーの脱税疑惑(Ruler選手などが関与)が表面化したことで、プロゲーマーを対象とした兵役緩和・免除制度そのものを廃止しようという議論が再燃しています。
LoLと無関係なeスポーツタイトルにも影響が波及しているという情報もあり、今後の制度変更には注目が必要です(この部分は現在進行中の議論であり、確定した内容ではありません)。
免除対象者の一覧(2024年時点)
2024年11月時点で兵役免除または特例の対象になった選手として確認されているのは以下の通りです。
| 選手名 | 免除・特例の理由 |
|---|---|
| Faker | 社会服務要員長期待機(戦時労務役)として別途免除 |
| Zeus | 2023年杭州アジア大会LoL金メダル |
| Kanavi | 同上 |
| Chovy | 同上 |
| Ruler | 同上(後に脱税疑惑が浮上) |
| Keria | 同上 |
| Bdd | 特殊な事例として対象に含まれる場合あり |
選手への実際の影響
兵役免除の意味は選手のキャリア寿命に直結します。通常の服務なら20代後半のブランクは致命的ですが、特例を得た選手は30歳を超えてもプロとして活動できる可能性が高まります。
実際、ほぼ同世代のOnerとGumaは免除対象外となっており、選手間でのキャリアへの影響差は非常に大きいとも言えます。
LoLというゲームの性質上、反応速度や判断力が求められる競技であるため、20代後半のブランクは結構重い意味を持ちます。
まとめ
- 韓国では20〜28歳の男性に約18ヶ月の兵役義務があり、プロゲーマーも対象
- LoLと兵役免除の関係は、Worlds優勝ではなくアジア大会の金メダルで初めて成立する
- 2023年杭州アジア大会でLoL韓国代表が金メダルを獲得し、初めてプロゲーマーに兵役特例が適用された
- 免除といっても完全ではなく、基礎軍事訓練と544時間のボランティア活動という「代替服務」が義務づけられる
- FakerはアジA大会以前から別の理由で事実上の免除状態にあった
- 「BTSは入隊、ゲーマーは免除」という不公平感から社会的議論が起き、2026年現在も制度見直しの動きが続いている
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