この記事を読めば2023年にLoL界を揺るがしたDFMパワハラ事件の詳細な経緯と、「犬発言」が何を意味するのか、公式裁定の内容まで一通り把握できます。
「まさかプロチームの中でこんなことが起きていたの?」と驚いた方も多いはず。
この事件はeスポーツ業界が抱えていた労働環境の闇を一気に浮かび上がらせた出来事でした。
事件の発端 tol2選手の告発ツイート
2023年7月6日の深夜、日本を代表するプロゲーミングチーム「DetonatioN FocusMe(DFM)」のLoL部門に所属していたtol2選手が自身のTwitterアカウントで衝撃的な告発を行いました。
内容はコーチ陣から日常的に暴言・恫喝・人格否定を受けてきたというもので、投稿は瞬く間に拡散されeスポーツ界に激震が走りました 。
tol2選手が告発したコーチはKazuヘッドコーチとCerosコーチの2名です。当日の夜、身の危険を感じてゲーミングハウスから逃げ出したとも投稿しており、状況の深刻さが伝わってきます。
実際のツイート
かずコーチに恫喝されました。普段からコーチ達には人格否定や恫喝をされますが今回ばかりは命の危険を感じたのでゲハから逃げました。明日の試合には出たかったですがゲハに帰ったら何をされるか分かりません。ファンの皆様申し訳ございません。助けて欲しいです。落ち着いたら全て話しますすみません
— DFM tol2 (@tol_2_) July 6, 2023
チーム内でどんな扱いを受けても(ゆたぽんさんは暴言を止めに入ってくれますが)味方がいなくて春が終わったあとに適応障害と診断されました。業界の先輩にパワハラの相談をしたことがバレて梅崎さんに次やったらLJLには出さないと言われ罰金を払わされました。なので逃げ場がありませんでした
— DFM tol2 (@tol_2_) July 6, 2023
春からセロスコーチには暴言をたくさん吐かれました。犬が散歩しているのを見て「おい、お前も犬なんだから混ざってこいよ」など言われました。やめてくださいと懇願しても無理だと。ロンドンで涙が止まらなくなってMilanが助けてくれて一旦は落ち着きました。でも結局は昨日も凄い暴言ばかりでした
— DFM tol2 (@tol_2_) July 6, 2023
「犬発言」とは何だったのか
この事件が「lol 犬 事件」として検索されるようになった最大の理由がCerosコーチによる特定の暴言です。
tol2選手の投稿によると、外を散歩している犬を見て「おい、お前も犬なんだから混ざってこいよ」 と言われたとのこと 。
やめてほしいと懇願しても止まらず、ロンドン遠征中に涙が止まらなくなるほど追い詰められたと明かしています。
これはただの失言レベルではなく選手の人格そのものを否定する言動であり、パワハラの典型的な形態である「人格攻撃型」に当たります。
適応障害と「罰金」問題
精神的な負荷は身体にも影響をおよぼし、tol2選手は春シーズン終了後に適応障害の診断を受けていました 。しかし問題はそれだけにとどまりません。
パワハラについて業界の先輩に相談したところその内容がチームに知られてしまい、CEO(梅崎伸幸氏)から「次やったらLJLには出さない」と脅迫され、さらに罰金まで科せられたというのです。
本来なら守られるべき相談行為が逆に制裁の口実に使われるという、二重の被害構造でした。
DFMの公式声明はこの点について「ハラスメントへの相談内容が漏れた」と事実を認めています。
その後のDFMの声明
CEO(梅崎伸幸氏)の発言に関しては、契約書内容の違約金のことだったとのことです。
該当ツイート内、またそのツイートに対する梅崎のツイート内で「罰金」として言及しているものにつきましては、「違約金」についてのものであり、表現に誤りがあったこと大変申し訳ございません。違約金に関しましては、契約書内容の漏洩に関するものであります。また、tol2選手のツイートの内容につきましては事実ではないと確認が取れました。
一方で、tol2選手のツイートに悪意は無く、この様に精神的に追い込まれる状況であったことをチームとして大変重く受け止めております。
翌日 コーチ2名が即日契約解除
告発翌日の7月7日夕方、DFMは公式声明を発表します。
調査の結果、KazuコーチとCerosコーチの2名による恫喝および人格を否定する発言があったことは事実と認め、両名のチームとの契約をその日付で即日解除したと発表しました 。
声明では「tol2選手の投稿に悪意はなく、このように精神的に追い詰められる状況であったことをチームとして大変重く受け止めている」とも述べられています 。
CEOである梅崎伸幸氏の処遇については「後日、経営会議内にて協議される」とされました 。
LJLによる公式裁定 罰金200万円
事態は個別チームの問題にとどまらず、国内LoLリーグ「LJL」による正式な調査・裁定へと発展しました。
2023年8月16日、LJLは調査結果を発表。一部コーチから選手に対するハラスメントと受け取れる言動があったと正式に認定しました 。
| 対象 | 処分内容 |
|---|---|
| Cerosコーチ・Kazuコーチ | LoLesportsに関わる全活動を6カ月間禁止 |
| DFM(チーム組織) | 運営責任として200万円の罰金 |
| tol2選手 | 2023年8月15日付でDFMと契約解除(合意) |
差別や暴行といったその他の違反行為については認められなかったとされていますが、組織としてハラスメントを事前に防ぐに足る対策を講じていなかった点は厳しく認定されました 。

この事件がeスポーツ界に突きつけたもの
eスポーツ選手はアスリートでありながら労働環境の整備という観点では長い間死角に置かれてきました。
今回の一件で改めて明らかになったのは、「相談した側が罰せられる構造」の存在です。
普通の職場でも起きうる問題ですが、ゲーミングハウスという密室性の高い環境に若年のプロ選手が集まるeスポーツの世界ではこうした権力勾配がより固定化されやすい側面があります。
事件後、LJLや各チームがハラスメント対応のガイドライン整備を進めていることは確かです。
ただ、「声を上げた選手が最終的にチームを去る」という結末が示すように被害者を守るための仕組みはまだ道半ばと言えるでしょう。
まとめ
- 2023年7月6日、DFMのtol2選手がコーチ陣からのパワハラをTwitterで告発し、「犬が散歩していた際の侮辱発言」が広く注目された
- KazuコーチとCerosコーチの2名による恫喝・人格否定はDFMの調査でも事実と認定され、即日契約解除に
- 「パワハラを相談したことを咎められ罰金を科された」という二重被害の構造が問題視された
- LJLの公式裁定でDFMに200万円の罰金、両コーチには6カ月間の活動禁止が言い渡された
- tol2選手は適応障害を発症し、最終的に2023年8月にDFMを契約解除という形でチームを離れた

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